■玉沢・妙法華寺3(重要文化財指定の撰時抄を格蔵)

 

玉沢・妙法華寺に格蔵されている重要文化財の中で、もうひとつの目玉の古文書は、何といっても日蓮自筆の「撰時抄」でしょう。これは日蓮・五大部の遺文(御書)です。

妙法華寺23撰時抄

 

もちろん、この撰時抄は、日蓮真筆ということで、鑑定され、重要文化財に指定されています。

 

その撰時抄ですが、「冨士一跡門徒存知事」によれば、撰時抄の下巻が日昭のもとにありと書いてあり、立正大学日連教学研究所編纂「昭和定本日蓮聖人遺文」にも、大石寺出版「平成新編・日蓮大聖人御書全集」にも、日昭の玉沢・妙法華寺に日蓮真筆があるとなっていますが、「他5ヶ所」とも書いてあり、妙法華寺の他にも日蓮真筆がある、ということになっています。

 

ところが玉沢・妙法華寺の境内に建てられている三島市教育委員会の看板によると

「日蓮直筆の五巻がほぼ完全な形で残されている」

と書いてある。この文では、撰時抄五巻が全て妙法華寺に残されているとも読めますし、各所に散在している撰時抄を合わせて五巻が完全な形で残されているとも読めます。

 

しかし三島市教育委員会の看板には、写真が掲げられていて、この写真によると、撰時抄五巻がひとつの箱にそろっているように見えます。

三島市教育委員会が、この箱に入っている五巻のことを言っているとすれば、玉沢妙法華寺に、日蓮真筆の撰時抄五巻がそろっているということになります。

 

「冨士一跡門徒存知事」にも、日昭の元に撰時抄があると書いてあるわけですから、玉沢・妙法華寺開祖・日昭在世の時代から、撰時抄は妙法華寺に格蔵されていたということなのでしょう。

 

玉沢・妙法華寺の境内には、三島市教育委員会の看板の他に、妙法華寺が建てた撰時抄の石碑が建てられていました。

妙法華寺27撰時抄碑