■奈良法隆寺2(金堂・本堂・院号)

 

□塔頭の名前が京都大寺院と同じ「○○院」の院号になっている奈良法隆寺

 

法隆寺に行くには、近鉄奈良駅前バスターミナルから、奈良交通バスの法隆寺前行きで約1時間。終点で下車するか、ないしは、JR奈良駅からJR大和路線に乗り約11JR法隆寺前駅で下車。

さらに法隆寺駅前から奈良交通バスの法隆寺門前行きに乗って約10分。終点下車というコースがあるが、私はJR線を利用するコースで行きました。

 

法隆寺の入り口は、「南大門」になっていて、ここから境内に入っていく。

ここからまっすぐ一直線に歩いて行くと、法隆寺の塔中をぬけて西院にたどり着く。

法隆寺の塔中は、中院、宝珠院、西園院、弥勒院、実相院、普門院、福園院、福生院、北室院、というふうに「○○院」という名前になっていて、これは東大寺塔頭、園城寺塔頭、延暦寺里坊から京都の各仏教大寺院の塔頭の多くが「○○院」という名前になっている。

京都にある富士門流本山・要法寺(現・日蓮本宗本山)で、こちらの塔頭は真如院・本行院・本地院・妙種院・顕壽院・法性院・信行院・実成院というふうに、「○○院」となっていて、法隆寺、東大寺、園城寺、延暦寺風の名前になっている。

これに対して、日蓮宗総本山身延山久遠寺、日蓮正宗大石寺、冨士妙蓮寺、讃岐本門寺、北山本門寺、西山本門寺、岡宮光長寺等々の塔中(塔頭)は、「○○坊」になっている。

これが関東の池上本門寺になると院号・寺号の混合になる。

 

西院の正面には中門があるが、ここからは入れず、向かって左側の拝観入り口から入る。

中門から向かって右に金堂、左に五重塔があり、これらを平面「凸」字形の回廊が囲んでいる。中門の左右から伸びた回廊は北側に建つ大講堂の左右に接している。

金堂、五重塔、中門、回廊は聖徳太子在世時のものではなく7世紀後半頃の再建ということであるが、7世紀後半頃の再建であっても、これが世界最古の木造建造物群であることは間違いないということである。

 

金堂というのは、法隆寺の「本堂」ということで、「本堂」のことを、法相宗、華厳宗や真言宗あたりでは「金堂」というが、「金堂」という言葉そのものは飛鳥時代から平安時代前半にかけての古代創建の寺院で多く使われている。

法隆寺西院の金堂が、まさに法隆寺の「本堂」で、金堂は、東院にはなく、ここだけである。

法隆寺の場合、「金堂」と「本堂」を独特の使い分けをしていて、法隆寺の「金堂」に対して、塔頭の中院、宝珠院、北室院、宗源寺、中宮寺に「本堂」がある。

つまり塔頭では「本堂」、法隆寺の本堂は「金堂」という使い分けをしているようである。

法隆寺22金堂
 

ところで金堂の壁画は日本の仏教絵画の代表作として国際的に著名なものであったが、1949年、壁画模写作業中の火災により、初層内陣の壁を焼損した。黒こげになった旧壁画(重文)と柱は現存しており、寺内大宝蔵院東側の収蔵庫に保管されているが、非公開である。

解体修理中の火災であったため、堂内の諸仏は難をまぬがれた。この火災がきっかけで文化財保護法が制定され、火災のあった126日が文化財防火デーになっているという、経緯がある。

堂内は釈迦如来、薬師如来、阿弥陀如来を本尊として祀られている。