■鎌倉建長寺3(人工的な景観美)

 

建長寺は鎌倉市内でもかなり山手にあり、交通の便はいいほうではない。建長寺へ行くと、今も大寺院としての広大な境内と大伽藍を持っているのがわかる。

建長寺総門前にある立て札には、次のようなことが書いてある。

「建長寺は今から七百五十年前、鎌倉時代、建長五年(1253)、禅によって国の興隆をはかるため、執権北条時頼公の発願により、中国の禅僧・大覚禅師(蘭渓道隆)を開山として創建された、日本で最初の純禅の大道場です。

建築は、総門・三門・仏殿・法堂・方丈が一直線に連なる中国の禅宗様式にもとづいています。

今の総門は、江戸時代、天明三年(1783)に京都・般舟三昧院で建立されたものを昭和十五年に移築しました。額「巨福山」(大きな福をもたらす寺)は、中国僧、一山一寧(一山国師)禅師(建長寺第十世)の筆です」

建長寺35総門

 

建長寺も、広い境内の中は総門・三門・仏殿・法堂・方丈・宗務院が一直線上に建てられている。これは臨済宗大寺院に共通した伽藍の建て方である。鎌倉・円覚寺もこういう建て方になっているし、京都の臨済宗大寺院にも共通している。

さて禅宗の寺院の場合、一般的に仏殿が、他宗寺院の本堂に該当する堂宇だとされています。

そこで、仏殿に行ってみると、こんな文が書かれた立て札が建てられていました。

「仏殿(重要文化財)

建長寺の本尊・地蔵菩薩を安置。北条時頼公と開山大覚禅師(蘭渓道隆)の衆生済度の願いが込められています。毎月一日・十五日の祝聖、二十三・二十四日の開山例月忌、釈迦三仏忌、開山忌などの法要がここで行われます。

現在の建物は、創建当初より四代目のものといい、東京・芝・増上寺にあった徳川二代将軍秀忠公夫人(お江の方、家光の母)の霊屋を建長寺が譲り受けました。仏殿前の庭園の柏槇は開山禅師のお手植え、古木は樹齢七百五十年です」

建長寺25仏殿

 

寺院の中心本尊が仏殿に祀られている、ということであるので、仏殿が本堂に該当する、という解釈は妥当だと思われます。

 

建長寺の境内はなかなか広いのですが、この広大な境内が、隅々に至るまで完璧に整備されている。まさにチリ一つ落ちておらず、雑草一本も生えていない、という感じ。

石畳、石段、参道、休息所、植えられている木々、庭園等々、どれをとっても、人工的な美観はお見事と感嘆してしまいます。境内の木々も、まことに綺麗に手入れが行き届いているのがわかる。

こういうと「そういうのは建長寺だけではない」と言われるかも知れない。

それは確かにそのとおり。他の寺院の境内が整備されていないという意味ではありません。

(雑草生え放題で放置状態になっている大津蓮華寺を除く)

私が建長寺の境内を見学して、強く感じたのは「人工的な景観美」。もちろん、堂宇や参道、石段等は人工的に造成されたものですが、建長寺の場合、庭園から山内の木々に至るまで、全てが人工的な景観を感じました。手入れが行き届きすぎているのか、それとも木々に至るまで、全て植林しているのか、そのあたりは定かではありませんが。

 

建長寺の境内をずーっと見学して、面白いなと思ったのは、方丈の中も、一般の見学ができるようになっていること。方丈という所は、その寺院の貫首・住職が居住している所なので、他宗門では一般は立ち入り禁止になっているケースがほとんど。

臨済宗の大寺院の場合、方丈の中も見学できる寺院が、まま見られます。

もちろん、貫首・住職が居住している所は臨済宗でも立ち入り禁止になっているわけですが、見学できるところは、庭園と本尊が祀られている広間。ここでも僧侶の修行が行われている、といいます。方丈には、こんな立て札が建てられていました。

「方丈(龍王殿)

本来は住持(貫首・住職)が居住する場所。現在は法要・坐禅・研修の場所として使われています。

この建物も、総門と同じく京都・般舟三昧院より昭和十五年に移築しました。建物は享保十七年(1732)の建立です」

建長寺19方丈

 

建長寺貫首は、こことは別の場所に居住しているようです。

方丈をぐるりと廻って見学し、裏側にまわってみると、これまた見事なくらいに整備された日本庭園があり、何人かの見学客が座って、庭園を眺めていました。

その庭園にも、こんな立て札が。

「庭園(国史跡)

蘸碧池を中心とする庭園は開山大覚禅師(蘭渓道隆)の作庭。創建当時よりあります。寺院の池は、寺の前にあるのが普通ですが、建長寺は最奥に位置します。この池のまわりには当初、得月楼・大客殿・方丈などがあり、檀那や貴賓の応接に用いられました。

創建七百五十年を記念して平成十五年に大改修をして現在に至っています。

右側の総二階の建物は得月楼と称し、創建七百五十年を記念して平成十四年に建設されたものです。蘸碧池とは、緑の木々の色が青い水にひたって輝いていることを表しています」

建長寺18庭園