■輪島漆芸美術館1・大石寺9世日有が偽作した「戒壇の大本尊」なる板本尊漆塗りの調査1

 

□日本でも漆研究の第一人者が館長を務める石川県輪島漆芸美術館

 

石川県輪島漆芸美術館とは、石川県は能登半島の端っこの輪島市にある輪島市立の美術館。

ここが開館したのは1991年(平成3年)で、輪島市石川県輪島漆芸美術館設置条例が制定されて開館している。この条例によりここが行う事業は

□漆芸美術に関する調査、研究及び普及並びに漆芸美術品の展示

□漆芸文化を通じて地域振興に寄与すると認められる事業

□その他芸術文化に関する調査及び研究並びに展示に関する事業

ということになっている。

なぜ輪島市が条例まで定めて「漆芸美術館」を開館させたのかと言うと、輪島では古くから「輪島塗」と呼ばれる漆工芸・漆芸の伝統があるからである。

輪島での漆器の生産は古く、能登半島の三引遺跡(七尾市)からは6800年前の漆製品が発見されており、輪島では平安時代の遺構である屋谷B遺跡で漆製品が発掘されている。

輪島塗の特色を備えたものとしては、石川県穴水町の西川島遺跡群御館遺跡(室町時代前期)で珪藻土を下地に用いた椀が発掘されている。現存する最古の輪島塗は、室町時代の大永4年(1524年)作と伝わる輪島市河井町にある重蔵神社(じゅうぞうじんじゃ)旧本殿の朱塗扉といわれている。

現在のような輪島塗の技術が確立したのは江戸時代の寛文年間と伝えられており、この時期にはすでに海運の利を生かして輪島塗の販路を拡大。また陸路での行商もおこなわれており、堅牢さが評判の輪島塗は日本各地で使われていた。沈金の始まりも江戸時代享保期、蒔絵は江戸時代文政期と言われている。

その輪島漆芸美術館の所蔵する漆芸品は、全国の作家や美術愛好家の協力も得て、今では900点を超える所蔵品を有しているという。

この石川県輪島漆芸美術館が、日蓮正宗大石寺の「戒壇の大本尊」偽作説と、実は密接な関係があるのである。どこがどう関係しているのか。これは言うまでもなく、大石寺の「戒壇の大本尊」なる板本尊が、「漆」加工されているからで、この「漆」が「戒壇の大本尊」偽作の直接的証拠に結びついているからである。

では、石川県輪島漆芸美術館との関連をもっと具体的に言うと、実はここの所蔵品が関係しているのではなく、この石川県輪島漆芸美術館の館長が、日本でも漆研究の第一人者である四柳嘉章氏であるということ。

私は、何としても「漆」について四柳嘉章氏の見解を聞きたいと思い、数年前、この石川県輪島漆芸美術館にて、四柳嘉章館長との単独会見に成功した。

漆芸美2


 

石川県輪島漆芸美術館・館長の四柳嘉章(よつやなぎかしょう)氏のプロフィールは、だいたい以下の通りである。

1946年石川県生まれ、国学院大学史学科卒業。歴史学博士。現在、石川県輪島漆芸美術館館長、漆器文化財化学研究所所長、美麻奈比古神社宮司である。専攻は漆器考古学、文化財科学。日本を代表する漆器輪島塗の産業振興の旗振りである。

主な著書 「漆Ⅰ・Ⅱ」(法政大学出版局・2006)

主な編著 「西川島能登における中世村落調査」(穴水町教育委員会)

「北陸の漆器考古学」(北陸中世土器研究会)

主な論文 「漆の技術と文化出土漆器の世界」(『新たな歴史へ』岩波書店)

「考古資料の修復と文化財科学」(『國學院大學博物館学紀要』第27)

「漆塗り土器」(『総覧 縄文土器』アム・プロモーション)

「漆器と技術」(『戦国時代の考古学』高志書院)

等々である。

私も日蓮正宗大石寺の「戒壇の大本尊」なる板本尊の偽作説を研究・執筆していく中において、その中に「漆」の問題があり、その「漆」についての資料をいろいろと調査していく中において、ある筋の情報から、四柳嘉章氏の存在を知ることとなった。

その情報に依れば、石川県輪島漆芸美術館に「漆」研究に関する第一人者の学者が居て、その人の研究の中には、漆の物理的な研究にとどまらず、文化的価値や歴史的な経済的価値等々の研究に至るまで、実に幅広い研究を手がけているということであった。