■輪島漆器会館1・大石寺9世日有が偽作した「戒壇の大本尊」なる板本尊漆塗りの調査4

 

□漆の基礎知識。漆塗りの工程、漆に関するさまざまな展示を行っている輪島漆器会館

 

石川県輪島漆芸美術館での四柳嘉章館長との単独会見を終えた私は、徒歩で輪島漆器会館に向かった。

輪島漆器会館とは、輪島漆器商工業協同組合が経営している会館で、一階が輪島漆器商工業協同組合直営の漆器展示販売所。ここは、輪島市内約100の漆器専門店が共同出店している販売所で、輪島塗のありとあらゆる漆器が販売されている。

輪島塗とは、輪島漆器会館の見解に依れば、次のようになる。

「輪島塗の起源については諸説ありますが、鎌倉時代後期から、室町時代の初期(西暦1400年頃)と推定されています。その考証として、市内の重蔵神社本殿にある応永4年(西暦1397年)のものとされる内障の扉には、朱塗りの形跡が見られ、また文明8年(西暦1476年)建立の重蔵権現講堂の棟札には、塗師三郎次郎定吉の名が記されています。その他、市内東山の養覚寺より収集された黒塗八隅膳と椀一組は、稚拙な製作技術からみて鎌倉時代後期から室町時代のものと推定されています。さらに近郷の能登町柳田字合鹿や当目、および北河内においても、その当時から漆器づくりがなされていたと伝えられています。

現在の輪島塗に近いものができるようになったのは、桃山時代後期から江戸時代初期の頃と考えられていますが、それは珠洲市飯田町の乗光寺より収集した四つ椀揃い八隅膳からの推察であります。…

寛文年間(16611673)に至って、当時輪島に発見された珪藻土の一種を焼成粉末にして「地の粉」をつくり、漆に混入し、塗り研ぎを何度も繰り返して堅牢な下地を作る工法がされました。これが本堅地法で「布着せ」とともに今日の伝統工芸輪島塗の基本的工法となっています。

輪島塗に文様を施すようになったのは、江戸時代中期以降で、それまでは朱漆で絵付けされたものもありましたが、ほとんどは無地物でした。享保年間(17161736)頃には、輪島独特の華やかな沈金技法が考案され、蒔絵は文政年間(18041829)頃、会津から来た安吉夫婦によって会津蒔絵が伝えられたのをはじめ、京、加賀からの技術技法の導入や、蒔絵師の移住などによって次第に改善され普及し、華麗さを加えました。

輪島塗の販売が全国各地に広まったのは、江戸時代中期からで、とくに文化文政年間(18041829)頃には品種も多様化し、現代にも劣らぬ優秀な技術の職人があらわれ、格調の高い名品がつくられて、今日まで遺されているものがあります。

(輪島漆器会館の「輪島塗のあらまし」より)

漆器会館1 

輪島漆器会館の二階が輪島漆器資料館になっている。ここは、輪島塗の歴史民俗資料約4000点以上を保有している他、漆に関するさまざまな展示を行っている。私が、日蓮正宗大石寺の「戒壇の大本尊」なる板本尊の漆塗りの問題で、輪島漆器会館を訪れたのは、この展示を見たかったからである。

ここの展示は、漆の基礎知識から、漆塗りの工程のほか、漆に関するさまざまな知識に関するものがある。その展示のひとつひとつは、まことに貴重な展示に他ならない。石川県輪島漆芸美術館では得られなかった知識も多多あったわけで、そのひとつが、漆加工が素人にはむずかしいということで、どこが具体的にむずかしい所なのかという点。

それが漆加工ができる職人として、一人前になるには10年以上の歳月がかかること。そして、漆加工をすると「漆かぶれ」が起こることである。

輪島漆器資料館の展示だけでなく、公式サイトにも、載っていたので、抜き書きしてみると

「一人前となるためには1015年程の修業を必要とします。」

「下地作業と同様、10年~15年以上の熟練を費やします。」

とある。又、漆かぶれの件については

Q19. 漆はかぶれませんか。

A. しっかりと漆が乾燥した漆器は何人も、かぶれることはありません。塗膜が不完全な乾きの状態では、皮膚の弱い人はまれにかぶれます。又、漆液の状態では、ほとんどの人がかぶれます。職人さんは免疫ができ、かぶれなくなります。万が一、かぶれた場合は市販の薬でなく皮膚科での治療が早く治ります。」

とある。素人では、まず漆かぶれになってしまうが、漆職人は免疫が出来ているため、漆かぶれにならないということ。ならば、素人には漆加工そのものが無理だと言うことですね。

輪島漆器資料館の展示そのものは、とてもわかりやすく、初心者でもだいたいのことはわかるのではないかと思うくらい、わかりやすく書かれていた。

ただ私にとっては、漆の取り扱い、漆塗り・漆加工が素人には非常に難しいものであるという確証が得られたことが大きな収穫。これだけでも、大石寺の「戒壇の大本尊」なる板本尊の漆塗りが後世の偽作である証拠になり得るからである。

石川県輪島漆芸美術館と輪島漆器会館を訪れたことは、「戒壇の大本尊」なる板本尊偽作問題を解明していく上で、大きな前進になりました。

漆器会館4