■金沢市安江金箔工芸館2・日有が偽作した「戒壇の大本尊」金箔加工の調査2

 

□金沢市立安江金箔工芸館・学芸員との単独会見に成功

 

金沢市立安江金箔工芸館に入って行くと、大まかな金箔工芸の歴史や金箔工芸製造過程の展示が多く、私が見学していると、女性係員の人が熱心にいろいろと説明してくれました。

金沢市は、日本の金箔の90%以上生産している所ということで、金箔の生産の説明については、特に熱が入っていました。

ただし私がここで聞きたかったのは、今の金沢の金箔生産のことではなく、日本の鎌倉時代、室町時代の金箔加工について。これを質問すると

「そーですねえー。こういう専門的なことは館長か、学芸員に聞いてみないと、…」

との返事。というわけで、安江金箔工芸館の学芸員が奥から出てきて、私と単独会見することになった。

学芸員(がくげいいん)とは、日本の博物館法に定められた、博物館(美術館・科学館・動物園・植物園なども含む)における専門的職員および、その職に就くための国家資格のこと。

欧米の博物館・図書館・公文書館では職種としてキュレーターが置かれているが、日本ではキュレーターを学芸員と訳している。

学芸員の職については、博物館法(昭和26年法律第285号)の第4条第3項に定めがあり、「博物館に、専門的職員として学芸員を置く」とされている。また、学芸員補という職もあり、学芸員補は、学芸員の職務を助けるために博物館におかれる職である(博物館法第4条第5項・第6項)。なお、ここでいう「博物館」とは、歴史、芸術、民俗、産業、自然科学等に関する資料を扱う機関のことであり、「博物館」の名称を持つ施設のほかにも、美術館なども含まれている。

金沢市立安江金箔工芸館も博物館法の博物館ということで、学芸員がいた。その日は、館長が不在ということで、学芸員が私の質問に対する応対に出たわけである。

しかしこの学芸員は、当初、私の訪問目的をあまりよく理解していなかったようで、「金箔」「金箔加工」の研究と言うからには、安江金箔工芸館の展示を見に来たと思い込んだようであった。

確かに展示を見学しに来たことは事実だが、実際に来てみると、ここの展示は、地元金沢の金箔加工や創立者・安江氏の所蔵品が中心であり、いささか拍子抜けしたことも事実。

もちろん、金沢の金箔中心、安江氏の所蔵品等の展示は、とても貴重なものであり、すばらしい展示であることは事実。

安江金箔工芸館の説明によれば、今の日本の金箔は金沢産が99%を占めているということだから、ここの安江金箔工芸館の展示が、金沢の金箔中心の展示になるというのは、致し方ないことなのかもしれない。

安江金箔工芸館1 

しかし私としては、それ以上に金や金箔について、掘り下げて研究し、学芸員や係員に、鎌倉時代、室町時代の金箔加工について、専門的な知識を得たいと思っていたわけだから、金箔加工の歴史や技術的な全体感の展示が極端に少ないことは、私にとっては、物足りなさを感じさせた。

こういう具体的な話をしているうちに、学芸員もようやく私の来訪目的を理解したようであった。

 

学芸員「あなたの研究と金箔は、どういう関係があるのですか」

○「日蓮正宗大石寺の『戒壇の大本尊』なる板本尊に漆加工や金箔加工が施してあることが、鎌倉時代当時の日蓮の経済力からして不可能であること。

そして室町時代の大石寺9世日有が、甲斐国・湯之奥金山の金の経済力を持っていたことからして、『戒壇の大本尊』なる板本尊を製造できる人物は、大石寺9世日有をおいて他になく、漆加工や金箔加工が、『戒壇の大本尊』なる板本尊が大石寺9世日有によって偽作された証拠というわけです。そのため、金箔加工の知識を深めるために来ました」

 

このあたりから、話の本題に入っていったわけだが、話は当初の想定とは裏腹に、私が質問するのではなく、学芸員が私に質問するパターンで進んでいったのだが、その話の進展が、とても面白かった。