■金沢市安江金箔工芸館4・日有が偽作した「戒壇の大本尊」金箔加工の調査4

 

□金沢市立安江金箔工芸館・学芸員との単独会見記3

 

学芸員「もし大石寺の板本尊が、日蓮が造立した板本尊ではないとしたら、誰が造立したのですか。板本尊を造立した人物とは??。その人物は、金を入手できる人物だったのですか。」

○「います。日蓮正宗大石寺の『戒壇の大本尊』なる板本尊を造立した人物とは、大石寺9世法主の日有という人物です。この日有が大石寺の法主に登座して間もない頃、大石寺の北方15キロぐらいの所に金鉱山が発見されています。場所は、山梨県と静岡県の県境から山梨県側に少し入った所。毛無山の奥地にある湯之奥金山という名前の金山です。

学芸員「そうですか」

○「大石寺9世日有が法主に登座して間もなくの15世紀前半のころ、湯之奥金山で金の生産がはじまっています。このころは甲斐国の領主・武田氏も、駿河国の領主・今川氏も、湯之奥金山の存在を知らず、金山衆(かなやましゅう)と呼ばれる人たちが、金の生産を行っていました。その金山衆たちは、日蓮宗系の法華信者、大石寺や北山本門寺の富士門流の信者が大半だったことが、現地の学術調査で判明しています。金山衆が大石寺9世日有に金を供養したか、あるいは、大石寺9世日有をはじめとする大石寺僧が自分たちで金を堀に行くことだって可能だったわけです。」

学芸員「なるほど。そうですね」

○「大石寺9世日有は、甲州(甲斐の国・山梨県)・湯之奥金山から産出した金を入手していた日蓮正宗大石寺九世法主・日有は、その金を足掛かりにして、大きな経済力を持つにいたった。

大石寺9世日有は、この金による経済力を使って、京都天奏を行い、黒漆塗りに金箔加工を施した板本尊「戒壇の大本尊」の偽作や「紫宸殿の本尊」の模刻本尊などを造立し、大石寺に御宝蔵や客殿といった伽藍を建立するなど、大石寺の堂宇を整備し、日蓮門下一門・富士門流の本山寺院としての主導権を握ろうとした。

そして金による経済力を以て行った日有の京都天奏が、 「戒壇の大本尊」偽作と密接に結びついているわけです。京都天奏によって日有は、比叡山延暦寺、園城寺、建仁寺等々の京都の大伽藍を備えた大寺院を目の当たりにし、客殿、宝蔵、不開門、勅使門といった伽藍、秘仏という化儀、本山・末寺の僧侶教団、戒壇論という教義を輸入し、これが「戒壇の大本尊」偽作に大きな影響を与えることになった。したがって、「戒壇の大本尊」偽作の最大のキーワードは、湯之奥金山の金による「経済力」「財力」ということになります。

それによって「戒壇の大本尊」なる名前の黒漆塗りに金箔加工を施した豪華絢爛な板本尊を偽作することに成功した。この金を元手にした経済力を使って、楠木を買い入れ、漆を買い入れ、門下の信者に漆加工、金箔加工を行なわせて、板本尊を造立したと考えられるわけです。

つまり日蓮は経済力がなかったが故に、「戒壇の大本尊」なる板本尊を造立できなかった。経済力がなかったが故に、楠木も漆も金箔も入手できなかったし、漆加工、金箔加工もできなかった。

しかし日蓮正宗大石寺9世法主日有は、莫大な経済力を有していたが故に、「戒壇の大本尊」偽作ができたというわけです。ポイントは、経済力です」

湯之奥線2 





















学芸員「買った?そうですか??自分たちで金箔加工を行ったというより、工賃を支払って金箔加工の職人を雇い、職人が金箔加工を行ったと考えるほうが、現実性は高いでしょう」

○「そうですか。金箔加工の職人を雇うほうが、現実性が高いですか」

学芸員「そうです。その方が現実性が高いですね」

 

こんな感じで、私と学芸員の会話が進行していった。

学芸員の方も、私の話をまじめに聞いてくださり、概ね、私の説に同意していただけたのでしたが、最後の一点だけ、つまり「誰が金箔加工を行ったか」ということに関して、大石寺9世日有の大石寺門下の信者が行ったというより、日有が工賃を支払って金箔職人を雇い、金箔職人が金箔加工を行う方が現実性が高いという指摘。

私は、このとき、自分の説が学術的にも充分に通用するものであることを確信すると同時に、学芸員からの学術的な指摘による部分修正ができたことが、なんともありがたかった。

安江金箔工芸館・学芸員からの「大石寺9世日有の大石寺門下の信者が行ったというより、日有が工賃を支払って金箔職人を雇い、金箔職人が金箔加工を行う方が現実性が高い」という指摘は、大石寺の「戒壇の大本尊」なる板本尊偽作の重要なポイントが「経済力」「財力」であるという確信を、私がますます深くすることになった。

そして学芸員の方から、「何か研究に資するものがあれば」ということで、安江金箔工芸館が取り扱っている書籍をいろいろと紹介され、私はその中から、地元・金沢市の新聞社である北国新聞社出版局編・時鐘社発行の「日本の金箔は99%が金沢産」という本を一冊購入して、東京に持ち帰ることにした。

この「日本の金箔は99%が金沢産」という本は、金沢の金箔の事のみならず、金箔に関するさまざまな事が載っていて、なかなか面白い内容になっている。