■高岡・山町脇・土蔵造り資料館2(蔵造り・土蔵の謎を追って3)

 

□高岡市土蔵造りのまち資料館に掲示されていた明治の高岡大火と焼け残った土蔵造り

 

高岡市指定文化財・旧室崎家住宅が、高岡市土蔵造りのまち資料館として、一般公開されている。室崎家は現当主で九代目となる歴史のある家で、明治初期にこの場所に移ってきたもので、それ以前は、道路を挟んで向かい側の家に住んでいた。室崎家は、昭和20(1945)まで、綿糸や綿織物の卸業を手広く営んでいた、高岡でも屈指の商家。現在は石油商を営んでいる。

室崎氏の転居にあたって、高岡市がこの土蔵造りの民家を資料館として、一般に公開している。

ここも土蔵造りの調査で、入りました。

土蔵造りというのは、家屋の外側の話しであって、家の中は、至って普通の数寄屋造りの民家になっている。この家の土蔵は別にある。つまり民家も土蔵も両方が土蔵造りになっているというわけである。

土蔵造りのひとつのポイントとして、土蔵がある家は、裕福な家、財産家、資産家と言われる家が多かったこと。大切な家宝、財産を厳重に保管するために土蔵を造ったわけである。

土蔵そのものは、昭和3040年代のころまで、北陸地方の各地にあったようである。私も子どもの頃、土蔵造りの蔵をよく見かけた記憶がある。

江戸時代から明治、大正のころを生きた人たちは、「火災が多い」という常識の中で生きていた。そういう中、資産家たちは、自分たちの大事な財産が火災によって灰になってしまっては困るので、江戸時代から明治時代にかけて、土蔵を造っていった。そこで、土蔵の中には、財産が隠されているということで、第二次世界大戦後の混乱期に「土蔵破り」と言われる盗賊が出没した事件が多発していたという。

しかし戦後の高度経済成長の中で、次第に民家の新築が進み、立て替えが進んでいく中で、古い土蔵造りは姿を消していった。高岡市の場合も同様で、土蔵造りの家屋の立て替えが進み、土蔵造りの家が少なくなっていき、残ったところが重要伝統的建造物群保存地区になったのだという。

この資料館には、女性の係員が一人いて、私の質問に、わりと親切に回答してくれました。

「土蔵造りに関する本か資料はありませんか」と係員に質問すると

「いやー、そういうのは、ないですねえ」との答え。

資料館の中の明治の高岡大火や土蔵造りの説明が書いてある写真パネルを、「写真に撮ってもいいですか」と尋ねると、「あー、どーぞどーぞ」との答え。

そこで私が写真撮影していると、この女性係員が、奥の方から高岡市教育委員会が発行した高岡の土蔵造りに関する資料を一冊もってきて、手渡してくれました。「なんだ、ちゃんと資料があるじゃないですか」と言うと、「あまり人に見せていない資料」なのだとか。

土蔵造り資料館3












女性係員の説明によれば、昔から高岡では火災が多発していたといいます。記録が残っている江戸時代以降においても

1800(寛政12) 中川原町より出火 418戸焼失

1821(文政4) 上川原町より出火 市中焼失

1853(嘉永6)  守山町より出火 647戸焼失

1879(明治12) 高岡の大火 2000戸焼失

1882(明治15) 高岡の大火 230戸焼失

1888(明治21) 高岡の大火 800戸焼失

1900(明治33)627日 高岡の大火 市街地の約6割の3589戸を焼失

 

こう見てみると、実に火災が多いということがわかる。

係員の説明によると、1900(明治33)627日の高岡の大火では、火災が土蔵造りの家で止まった、ということです。これがきっかけで、大火後の復興にあたって、耐火建築の土蔵造りが造られるようになったという。

この土蔵造りの特徴は、外壁を黒又は白の漆喰で塗り込み、隣家境には延焼防止のための防火壁を設け、屋根は桟瓦葺きにして、大きな箱棟や鬼瓦を乗せ、二階窓には、観音開きの土扉を付けて、前面に下屋庇とそれを支える鋳物の鉄柱があるなど、外観は重厚な印象の意匠になっている。内部は外観とは対照的に、数寄屋造りになっている。

尚、山町脇には、菅野家住宅、旧室崎家住宅(土蔵造りのまち資料館)の他に、文化財に指定された伝統的建造物がある。

 

□筏井家住宅(富山県指定有形文化財)

代々 綿糸などの卸商を営んできた商家。

 

□井波屋仏壇店(国登録有形文化財)

元々、お茶の卸商の店舗として建てられた建物を、井波氏が買収して仏壇店を営んでいる。

 

□富山銀行本店

当初は高岡共立銀行本店として大正3年に建築された。

 

□塩崎家住宅

古くからこの地に住んで、高岡の地場産業である銅器の卸売り業を営んでいた。現在は計量機器類の卸売り業を営んでいる。主屋の建築は明治42年。明治期の土蔵造りと昭和期の洋風建築が同居している住宅。

 

土蔵造り資料館2