■福井・永平寺2(真冬にはマイナス6度になる厳寒の永平寺)
永平寺は道元禅師の開山で1244(寛元2)年の創建。1372(応安5)年に北朝の後円融天皇から「日本曹洞第一道場」との勅額を受けた。1539(天文8)年、後奈良天皇より「日本曹洞第一出世道場」の追認を受けている。
しかし1574(天正2)年に一向一揆の攻撃で全焼。現在の七堂伽藍は、江戸時代中期に再建されたもの。曹洞宗は全国に15000ヶ寺の末寺、800万の壇信徒がおり、永平寺では約150人もの雲水(修行僧)が修行している。
曹洞宗大本山永平寺は、北陸地方では宗派を超えて有名な寺院であり、修学旅行のコースにも入っている。私も小学校だか中学校だか忘れたが、修学旅行でここに来た記憶がある。北陸地方は、室町・戦国時代以降、圧倒的に浄土真宗が多い地域なのだが、北陸地方の人は、一度は永平寺に参拝しているのではないだろうか。それくらい有名な寺院であり、参拝客が多い寺院である。
私も修学旅行は別にして、何度か永平寺に参拝に来ている。独自に寺跡調査に来ているし、2010年には、あの当時、76才だった父親と二人で永平寺に参拝している。2013年2月にも、厳寒の永平寺に参拝して、寺跡調査を行った。あの時は、早朝、私の実家から車で行ったのでしたが、永平寺に到着したときの気温は、マイナス6度でした。私は普段、東京に住んでいるのですが、東京は真冬でもマイナス6度まで気温が下がるというのは、あり得ません。真冬の一番寒いときでも、気温0度か、下がってもマイナス1度か2度くらい。だから、永平寺の外気温マイナス6度というのは、かなりこたえました。積もっている雪が凍っていましたから。
永平寺に参拝する時は、窓口で参拝券を買って吉祥閣という大きな接待堂宇に入って行く。永平寺発刊の正式文献「永平寺」によれば、吉祥閣は、地下一階、地上四階の鉄筋コンクリート造りで冷暖房付きの近代建築。数十億円の巨費を投じて昭和46年(1971)春に完成。一階は総受付と売店、ロビー、応接間、伝道部の勧化室がある。伝道部の勧化室で一般参拝者は、係の僧侶から永平寺の概要を聞いて、その後、拝観に出る。
2010年冬に父親と参拝したときに、これがありました。ただし、単独で参拝したときは、これがなかったこともあり、いつもこれを行っているようではない。人数がある程度、集まって行われるようである。
参拝客の人数がそろったところで、係の僧侶が出てきて合掌。僧侶から永平寺のこと、参拝についての心構え、山内について、堂宇について、説明がある。それが終わった後、順路にしたがって、各自、永平寺内を見学、参拝する。僧侶の説明を聞く前、説明が終わった後、一同に合掌礼をする。合掌礼と言うと、地に伏せるかのような伏せ拝を連想しがちだが、ここの合掌礼はそんなものものしいものではなく、単に合掌をして礼をするだけのものである。永平寺には、普段の日からたくさんの参拝客が来ているからか、僧侶の参拝客に対する説明も、実に手慣れたもの。
僧侶の説明が終わると、参拝客は順次、境内の中を参拝・見学にまわる。が、参拝客の見学コースは、あらかじめ決められており、どこでも参拝客が入れるわけではない。中に入れる堂宇が多いのですが、一部に参拝客が入れない堂宇もある。
参拝コースは吉祥閣から仏殿、法堂などを見学するが、途中で引き返してもOKである。
しかし何度、永平寺を見学しても感じるのは、昔からの木造の堂宇が、廊下も階段も、実に清掃が行き届いていて、床がピカピカになっていること。あたかもワックスでも塗ってあるかのように見えること。ワックスが塗ってあるはずはないが、ここまで床がピカピカに輝いているということは、それこそ毎日のように、永平寺の修行僧が床を雑巾で拭いているのだと思う。
仏教寺院に参拝に行くと、だいたいどこも清掃が行き届いていて、床がピカピカに輝いている寺院が多いのだが、それでも曹洞宗や臨済宗など、禅宗系の寺院に来ると、境内の整備が完璧なまでに行き届き、床が特にピカピカになっているように見える。
永平寺の境内は広く、廊下を通って歩きながら見学すると、かなりの時間を要する。仏殿、法堂、聖宝閣は、一般参拝コースに入っていて、誰でも見学ができるが、僧堂は修行僧(雲水)が朝昼の食事や夜の睡眠をとる修行道場であるため、一般参拝客の立ち入りは禁止。
僧堂の入り口から間違えて、中に入ろうとする参拝客が居るが、若い修行僧に「こちらは立ち入り禁止になりまーす」と言われて、止められてしまう。
ところが「入ることが出来ない」と言われてしまうと、ますます僧堂の中を見たくなるのが、人の心というものだ。廊下に面した僧堂の障子戸に、わずかなすき間があり、このすき間から、僧堂の中を覗いている参拝客が居ました。ちょうど昼食の時刻で、障子戸の隙間から中を覗いていた参拝客が、小さな声で「食事をしている」というしぐさ。
永平寺発刊の正式文献「永平寺」によれば、僧堂は間口十四間、奥行き十間で修行僧の修行の根本となる堂。この堂で座禅、打眠、二時の食事をする。内堂には約82人が就寝でき、座禅の時は、164名の修行僧が修行することができる。
ただし一般の参拝客でも、永平寺の修行体験ができるコースがある。参禅コースは、何と午前3時30分に起床して21時に就寝するまで、座禅、読経、法話など、決められた日課で修行。
又、予約により座禅体験のコースもあって、こちらは体験料が1000円。これはまさに足を組んで座禅を行うコース。雑念が出ると、すかさず後方の僧侶から肩にバシッと一打が来る。これは警策と言うらしい。
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