■富士山本門寺(西山本門寺)18(般若の面のような形相)

 

さて、私が浄円坊・庫裡のインターホンを鳴らしたと同時に、玄関口に現れた西山本門寺貫首代務者・浄円坊住職の山口亮祐氏。

ところがこの山口亮祐氏の態度たるや、「誰だ、オマエは」とばかりの、ものすごい剣幕。あたかも、人殺しかドロボウを、今にも捕まえようとするような態度に、私も、一瞬、面食らってしまいました。

 

この人、僧侶だから、日々読経で喉と声を鍛えているだけあって、「誰だ、オマエは」とばかりの剣幕も、なかなか迫力がありました。腹式呼吸で声を出しているとあって、なかなかドスが効いているわけです。

「この人は、元ヤクザの人なのかなあ」と、本気で思ってしまいました。

 

しかも、私をにらみつける表情たるや、ものすごい形相で、あたかも、能役者がかぶっている「般若の面」そっくりなのです。「般若の面」とはどういうものなのか、ご存じない方もいらっしゃるかもしれませんので、読者の方の便宜のため、「般若の面」の写真をUPしておきました。

般若の面2

般若の面1

 

この「般若の面」の形相で、声にドスを効かせ、頭ごなしの高飛車な態度で、「オマエは何者だ」との態度。しかし、寺院を訪ねてきた人に対して、会っていきなり、この態度はあまりにも、非常識すぎるものがあります。

私は、西山本門寺を訪ねてきただけのことであって、それ以外の何物でもないわけです。

私も、この住職の態度に黙っていたら、この住職の態度を容認したかのように解釈されてしまうのは心外であるため、ここは強く抗議しました。

 

「あなたのその態度は、一体、何ですかね。いかにも『何者だ』と言わんばかりですが、この寺に参詣に来た者ですよ。これが何か、いけないことですか。

さっき、客殿前にいた掃除の女性に話を聞いたところ、こちらの坊で話を聞かれたらいかがですか、と言われて、こちらに伺ったまでですよ」

 

こう言うと、般若の面のような形相だった住職は、急に玄関前の庭を、あっちに行ったり、こっちに行ったりしはじめ、急に下を向いて、うつむき加減になった。

 

「あなたは、ここの御住職さんですか」

 

山口氏「そう。私がこの坊の住職ですが」

 

それでもまだ、表情が、「般若の面」状態になっている住職。

 

「あそこの客殿前で掃除をしていた女性が、私に言うには、『何か聞きたいことがあったら、こちらの坊の住職に聞いたほうがいいです』というお話だったから、こちらに来たんじゃないですか」

 

私がこう言うと、「般若の面」状態の住職は、斜め前に、うつむき加減になり、目がうつろ状態になったわけです。