■真宗・浄興寺1(親鸞の頂骨)

 

□浄土真宗の宗祖・親鸞の頂骨を格蔵すると伝承する浄土真宗浄興寺派本山・浄興寺

 

浄土真宗・高田浄興寺とは、新潟県高田市にある浄土真宗浄興寺派本山。讃文には「本山浄興寺」の額が掲げられている。正式名は歓喜勇躍山浄興寺で、浄興寺という寺号も浄土真宗興行寺の略名である。浄土真宗は浄土真宗本願寺派 、真宗大谷派、真宗高田派、真宗佛光寺派、真宗興正派、真宗木辺派、真宗出雲路派、真宗誠照寺派、真宗三門徒派、真宗山元派の十派が有名で、この十派は真宗教団連合をつくる。浄土真宗には真宗教団連合に加盟するむ十派以外にも、数多くの分派があり、その中のひとつが浄土真宗浄興寺派で、ここは真宗教団連合には加盟していない。もともと浄興寺は、真宗大谷派の別格寺院であったが、昭和27年(1952年)の宗教法人法の施行により真宗大谷派から独立したことによって成立した宗派である。

浄興寺はJR高田駅から歩いて行けるくらいの距離にある。高田駅とは、新潟県上越市のターミナル駅である直江津駅からJR信越線・長野方面行きの各駅停車の電車に乗って二つ目の駅。東京から電車を利用して高田に行くには、二つのルートがある。ひとつは東京から長野新幹線を利用し、長野駅で新幹線からJR信越線に乗り換えて高田へ行くルート。もうひとつは、東京から上越新幹線に乗って越後湯沢で下車。そこから特急はくたか号・金沢行きに乗り換えて直江津で下車。直江津でJR信越線各駅停車に乗り換えて高田に行くルートである。東京からの所用時間は、どちらのルートを使っても、そんなに大差はない。ただし土日祝日、ゴールデンウィーク、旧盆、年末年始の繁忙期になると、上越新幹線~特急はくたか号のルートは、指定席・自由席ともに満席になってしまうことがよくある。しかし長野新幹線のほうは、繁忙期でも全列車満席とは、あまり聞いたことがない。だから信越線の長野行き列車は、長野から新幹線に乗り換える乗客でごった返すことがある。しかし2015年春、北陸新幹線が金沢まで開業する予定になっており、これによって特急はくたか号は廃止され、現在のJR信越線・脇野田駅近辺に北陸新幹線・上越妙高駅が開業する。ここが乗り換え駅になる。よって2015年春以降は、東京からは北陸新幹線で上越妙高駅にて下車し、ここで各駅停車に乗り換えるルート一本だけになる。

高田は冬になると、かなりの積雪がある豪雪地帯にある。浄興寺も冬に参詣すると、本堂、真骨拝殿、宝物殿、庫裡等には雪囲いがしてある。冬は積雪がものすごいため、寺院の行事はほとんど行われておらず、本堂も戸が閉め切られている。寺院の行寺は、春から秋にかけて行われる。

ではなぜ浄興寺を訪れたのか。それは浄興寺が古来から浄土真宗の宗祖・親鸞の真骨(頂骨・頭蓋の中央にある左右一対のたいらな四角形の骨。頭頂骨)を格蔵してきたと伝承する寺院であるからである。

 

 

□浄興寺に格蔵される東本願寺、西本願寺、興正寺から浄興寺に宛てた親鸞頂骨の分骨の礼状

 

浄土真宗の宗祖・親鸞は90才にて京都で遷化(死去)。京都・東山の鳥辺山墓地で荼毘に付されて葬られた。今の浄土真宗本願寺派(西本願寺)・大谷本廟(西大谷)がある所である。しかし親鸞の頂骨と遺品は、親鸞二十四弟子の一人、善性に相伝され、善性が護持してきたと伝承する。その善性に随って親鸞の頂骨と遺品は、京都から稲田草庵へ、さらに長野へ、そして高田の地にたどり着いて、今に至るというわけである。これだけだったら、浄興寺の寺伝として、かたづけられてしまっていたのかもしれないが、話しはこれで終わらないのである。どういうことかというと、親鸞の頂骨を格蔵してきた浄興寺が東本願寺、西本願寺、興正寺に親鸞頂骨を分骨してきており、東本願寺、西本願寺、興正寺から浄興寺に宛てた分骨の礼状が残っていて、これが浄興寺・宝物殿にて展示されている。こうなると、これはただ事ではないという話になる。

門主夫人の話によれば、浄興寺は親鸞頂骨を東本願寺、西本願寺、興正寺の他に、浄土真宗十派の本山である京都・仏光寺や真宗高田派・専修寺にも分骨しているのだという。京都・仏光寺や真宗高田派・専修寺はさておくとしても、東本願寺、西本願寺、興正寺から浄興寺に宛てた分骨の礼状が存在しているわけだから、少なくとも東本願寺、西本願寺、興正寺は、浄興寺が格蔵する親鸞頂骨を「真骨」だと認めていたことになる。だからこそ分骨の礼状を出したということだろう。

では同じく親鸞の真骨を格蔵すると称する東本願寺の大谷祖廟(東大谷)、西本願寺の大谷本廟(西大谷)との関係はどうなるのか。私は親鸞の頂骨の謎を追って、新潟県の高田・浄興寺を訪ねたというわけである。

浄興寺1




















 

(浄興寺山門)

浄興寺3



















 


(雪囲いがしてある本堂)

浄興寺5




















 

(浄興寺境内図)

浄興寺7




















 

(浄興寺本堂額)

浄興寺9




















 

(浄興寺・親鸞頂骨拝殿)

浄興寺11




















 

(浄興寺宝物殿)

浄興寺4




















 

(浄興寺縁由)

浄興寺6




















 

(浄興寺太子堂)