□宗教法人・日蓮宗の代表役員・宗務行政上のトップは日蓮宗管長ではなく宗務総長である

 

東京・大田区の池上本門寺にある日蓮宗宗務院庁舎で、20171215日、第113臨時宗会が開かれ、日蓮宗宗務院財務部長だった中川法政氏(大阪府四條畷市如在寺住職・宗会議員4期・68)が、宗務総長に選出された。

つづいて1220日、同じく東京・大田区の日蓮宗宗務院庁舎で、宗務役員認証式が行われ、中川法政宗務総長をトップとする日蓮宗宗務院(新内局)が誕生した。この日、誕生した新内局は、以下のとおり。

 

20宗務役員


































15中川法成宗務総長










 

(2018110日付け日蓮宗新聞より)



中川法政氏は1949年、大阪市生まれ、龍谷大学卒業。全国日蓮宗青年会理事長、大阪市修法師会会長等を歴任。荒行を五行成満。2006年から宗会議員を務め、今回で4期め。前の小林順光内局(小林順光宗務総長をトップとする日蓮宗宗務院)では財務部長だった。

つづいて中川法政宗務総長をはじめとする宗務役員12人は、翌1221日、日蓮宗総本山・身延山久遠寺(内野日総法主)の日蓮廟所(祖廟)にて「奉告式」を行った。さらにつづいて身延山久遠寺旧書院にて内野日総法主に「目通り」し、新しい宗務役員が紹介された。

日蓮宗のトップは管長であるが、日蓮宗の代表役員は、管長ではなく宗務総長が務める。

日蓮宗の管長は、管長推戴委員会で審議の上、推戴されて就任する。管長の職務は、日蓮宗宗制の公布、寺院への親教、宗務総長や貫首、僧階等の認証を行う。

現管長は、日蓮宗総本山(祖山)身延山久遠寺・内野日総法主であるが、日蓮宗管長と身延山久遠寺法主は必ずしも同一ではない。過去に、池上本門寺貫首など、他の大本山貫首が日蓮宗管長に就任した事例がある。

これに対して、宗務総長は日蓮宗宗会にて選出され、管長の認証で就任する。宗務総長は、地位的には、管長に次ぐナンバー2であるが、日蓮宗の宗務行政におけるトップであり、代表役員を兼任する。

日本の宗教法人では、ナンバーワンの管長、会長が代表役員を兼任する宗教法人も数多あるが、実際はナンバー2の宗務総長、理事長が代表役員を兼任する宗教法人のほうが多い。

日蓮正宗は、日蓮正宗総本山大石寺法主が日蓮正宗管長、代表役員を兼任する。京都要法寺が本山の日蓮本宗も、管長が代表役員である。これに対して、真宗大谷派(本山・東本願寺)、浄土真宗本願寺派(本山・西本願寺)、真宗仏光寺派(本山・仏光寺)、真宗木辺派(本山・錦織寺)、顕本法華宗、天台宗、浄土宗、曹洞宗等は、管長ではなく、宗務総長が代表役員である。創価学会、顕正会、立正佼成会も、会長ではなく、理事長が代表役員である。が、かつては創価学会も顕正会も立正佼成会も、会長が代表役員だったが、のちに会長から理事長に代表役員が交代したものである。

 

 



 

□日蓮宗の宗務行政はドイツ、イタリア、オーストリア、ギリシャの大統領・首相制によく似ている

 

こう言うとなんとなくわかりにくいが、外国の大統領・首相制にあてはめてみると、わかりやすくなるのではないか。

ドイツ、イタリア、オーストリア、ギリシャの大統領・首相制は、行政府のトップは首相であり、国家元首の大統領は、法律の公布、政府高官の認証など、きわめて儀礼的な権限しか持ち合わせていない。これに対して、ロシア、フランス、韓国の大統領・首相制は、国家元首の大統領が行政権を握り、行政府のトップである。首相は、行政府のトップである大統領を補佐する権限しか持っていない。つまり日蓮宗をはじめとするナンバー2の宗務総長、理事長が代表役員を兼任する宗教法人のシステムは、ドイツ、イタリア、オーストリア、ギリシャの大統領・首相制とよく似ており、日蓮正宗をはじめとするナンバーワンの法主・管長が代表役員を兼任する宗教法人のシステムは、ロシア、フランス、韓国の大統領・首相制とよく似ていると言えよう。

ロシア、韓国では「大統領の権限が強すぎる」ことがよく指摘されているが、ロシア、フランス、韓国型システムの定型的な事例である日蓮正宗の場合、日蓮正宗管長、代表役員を兼任する大石寺法主が強大な権力を握る「法主専政」体制になってしまっている。

「ドイツ、イタリア、オーストリア、ギリシャ型」のシステムは、独裁体制に陥らないかというと、そういうわけでもない。顕正会の場合は、今も浅井昭衛会長の専政がつづいているし、創価学会の場合も、代表役員が会長から理事長に交代した後も、池田大作が一人で絶対的権力を握り続けてきていた。独裁、専政になるか、ならないかは、政治システムの問題だけではなく、その団体、組織の体質の問題のほうが大きいと言えるのではないだろうか。

 

20宗務役員認証式




































 

(20171210日付け「日蓮宗新聞」より)