■法華宗本門流大本山・光長寺1(和泉阿闍梨日法で有名)

 

光長寺(こうちょうじ)とは、静岡県沼津市岡宮1055にある法華宗本門流の大本山。創建は1276(建治2)年とされていて、日蓮を開山、日春、日法を「同時二祖」としている。

一般的には、和泉阿闍梨日法が開いた寺院として有名で、同時二祖・日法とは、大石寺の「本門戒壇の大御本尊」「最初仏」日法彫刻説や、北山本門寺の「生御影」日法彫刻説で知られている、あの日法である。

しかし大石寺の「本門戒壇の大御本尊」「最初仏」なるものは、後世の偽作であり、日法とは全くの無関係のものであるが、この詳細については他の場所に譲ることとして、ここでは岡宮光長寺の話しを進めて行きたい。

光長寺26楠

 

この他にも、日法彫刻が「寺伝」として昔から伝承されている日蓮祖師像が、各地の日蓮宗系寺院に見られることなどから、日蓮宗関連の古文書や歴史史書などに、この光長寺の名前がよく登場し、通称名として、岡宮・光長寺の名前で知られています。正式名は、徳永山光長寺という。

この光長寺は、千葉県茂原市の鷲山寺、京都・本能寺、尼崎・本興寺とともに、法華宗本門流の四大本山のひとつになっている。

 

「法華宗」という名前がつく宗派も多数あるので、光長寺が所属している「法華宗」とは、どの法華宗なのか、わけがわからなくなりますが、法華宗本門流とは、通称「八品正意論」を唱える八品派と言われている宗派です。ただし八品派の中には、本門法華宗等もあり、八品派=法華宗本門流ではない。

八品とは、法華経涌出品から嘱累品までの八品のことで、八品派の開祖・日隆の八品正意論から来ている。

 

日隆(13851464)とは、八品派とよばれている本門法華宗、法華宗本門流の開祖。

当初は、四条門流(日像門流)の妙顕寺で修学していたが、法華経について教義論争が起こり、八品正意論を提唱。妙顕寺を退出して本能寺を建立し、日隆門流を興した人物。八品派の門祖であり、京都・本能寺、尼崎・本興寺の開祖になっている。

 

又、この日隆は、日蓮正宗大石寺9世法主・日有と交流があったことが、南条日住の筆記と伝承される古文書・日有御物語抄に出てきます。

 

そうすると、光長寺のほうが歴史が古いのに、なぜ後から出てきた日隆が開祖なのか、という疑問が出てくるわけですが、法華宗本門流の見解によれば

「室町時代の中頃、(光長寺)大学頭・本果院日朝聖人は、本能寺、本興寺の御開山・日隆聖人と一味法水(いちみほっすい)の約を結ばれ、法華宗を再興されました」

ということです。つまり歴史は光長寺のほうが古いのだが、教義的には、八品派・日隆門流と同一ということになる。

 

さらに資料によると、この法華宗本門流という宗派は、法華宗を再興した日隆を門祖とはしているが、四大本山のそれぞれが末寺を持っていて、総本山制度や一宗一山制度をとらず、それぞれの四大本山が独立しつつ、連合して宗派をつくっているという、ユニークな体制になっているという。こういう宗派は、あまり例がないのではないかと思われます。