■法華宗本門流大本山・光長寺3(富士門流との共通点)

 

岡宮・光長寺の境内を歩いていて、非常に目立つのが、鶴丸の紋。これは日蓮正宗や富士門流の本山、日蓮本宗等で使われている鶴丸と全くといっていいほど同じものです。

塔中の門前や本堂、蓮鉢など、けっこうあっちこっちに鶴丸のマークがあるので、一瞬、日蓮正宗や富士門流の寺院にいるような錯覚になってしまいます。

光長寺18本堂


これについては、法華宗のご信者の方から「鶴丸の紋は、勝劣派の紋です」という指摘を受けました。鶴丸の紋については、いくつか説があるのですが、勝劣派の紋だという説は、初耳でした。

 

岡宮・光長寺は法華宗本門流の大本山ですが、境内をいろいろ見学して歩いていると、日蓮正宗や富士門流の本山に実によく似ていると思います。塔中が全て坊号になっていることや、境内の各所に鶴丸が見られるというだけではありません。

光長寺の墓苑に行ってみると、中央に三師塔が建っており、これも大石寺との共通点です。ただし大石寺の言う三師塔の三師とは、日蓮、日興、日目ですが、光長寺の三師とは、日蓮と、同時二祖の日法、日春ということでしょうか。

御廟所には、日法の正墓が、ひっそりと建てられています。墓苑の三師塔は立派ですが、同時二祖の日法の正墓は、なんとなく、みずぼらしく見えました。

 

本堂前には、毎月13日に御講が営まれている旨の立て札が出ていました。毎月13日の御講というのも、日蓮正宗との共通点です。今は、日蓮正宗では毎月13日に限らず、第二日曜日とかに御講を行っているようですが、日蓮正宗と創価学会の和合路線時代の1990年までは、日蓮正宗のどの末寺も、毎月13日に御講を営んでいました。

日蓮正宗に言わせると、「毎月13日の御講は、創価学会の願い出によるもの」ということだが、1991年の創価学会破門以降は、これにとらわれずに、月1回以上の御講を営んでいるのだとか。

しかし、今でも毎月13日に御講を営んでいる日蓮正宗末寺は、けっこうたくさんあります。

 

こういうふうに、岡宮・光長寺と日蓮正宗・富士門流との共通点が何点かあると、こういうものが生まれた元は、何だったのかな、と思うわけですが、そのひとつは、江戸時代、大石寺をはじめとする富士門流と、岡宮・光長寺らの日隆門流が、今の千葉県大網白里町にあった細草檀林を共同経営していたことが挙げられるのではないかと思います。

これだけが原因ではないと思いますが、少なくとも細草檀林では、富士門流と日隆門流の学僧が、机を並べて修学していたわけですから、共通点が生まれる素地はあったと思われます。

 

 

さてその一方で、富士門流とは明らかに相違している点も随所に見られます。

そのひとつが、境内に建てられている日蓮の立像。

光長寺15日蓮像


これは日蓮正宗の寺院にはありません。

富士門流の本山では、現在日蓮宗に所属している北山本門寺と伊豆実成寺に日蓮立像が見られますが、それ以外では見られません。

 

日蓮の立像は、日蓮宗の寺院に行くとよく目にします。先の北山本門寺と伊豆実成寺もそうですが、その他に池上本門寺、佐渡根本寺、安房・清澄寺、鎌倉妙本寺、霊光寺、長勝寺、佐野妙顕寺等々…です。