■諸宗山回向院5(鼠小僧次郎吉の墓)

 

□「義賊伝説」で有名な鼠小僧次郎吉の墓がある東京両国・回向院

 

浄土宗寺院・東京両国・回向院には、「義賊伝説」で有名な鼠小僧次郎吉の墓がある。まずこの人は、かつて映画やテレビドラマでよく取り上げられたので、架空の人物ではないかと思われがちだが、鼠小僧次郎吉(17971832)は、れっきとした実在の人物だった。

私の子どもの頃、昭和40年(1965年)に映画『鼠小僧次郎吉』、昭和40年(1965年)-昭和41年(1966年)にかけてテレビドラマ『怪盗ねずみ小僧』があった。さらに鼠小僧次郎吉の娘ないしは孫娘が父ないしは祖父の処刑から数年の時を経て江戸の庶民のために「鼠小僧」の名を受け継ぎ活躍するという、「女ねずみ小僧」という架空の設定のドラマまで造られ、小川真由美主演の『浮世絵 女ねずみ小僧』、『ご存知 女ねずみ小僧』が放送された。「女ねずみ小僧」は、私もテレビでよく見た記憶がありますねえ。また1977年~1980年にかけて放送されたテレビアニメ「ルパン三世」テレビ第二シリーズの24話に、「四代目鼠小僧次郎吉」という設定が登場する。

最近は、鼠小僧次郎吉が映画やテレビドラマ等で取り上げられることは、めっきり少なくなった。というか、CSの時代劇専門チャンネルは、連日、時代劇番組を流しているが、地上波で時代劇番組そのものをめっきり見かけなくなってしまった。というわけで、「鼠小僧って誰?」と思われる方々が多いのではないだろうか。

鼠小僧次郎吉とは、江戸時代後期、文化・文政年間の大泥棒。18041830年の間に、98箇所122回にわたって犯行を行い、しかもほとんどが江戸の大名屋敷に盗みに入った。大名屋敷に盗みに入って、盗んだ金を貧しい庶民にばらまいたという「義賊伝説」が起こり、人気を博した。1832年に捕縛されるまで、途中、1回だけ捕まっただけ。南町奉行所の尋問を受けるが、「初めて盗みに入った」と嘘をついて切り抜け、入墨を入れられた上での中追放の刑を受けただけで終わった。

その後、武家屋敷71箇所、90回にわたって犯行を行っているので、鼠小僧次郎吉の犯行の七割以上が、一回目の捕縛・追放以後のものであることがわかる。これだけ大名屋敷に盗みに入って、捕まらなかったというだけで、江戸の町の大泥棒と言えるだろうし、これだけ鼠小僧次郎吉に盗みに入られて、捕縛できなかった当時の奉行所は、さしずめテレビアニメ「ルパン三世」に出てくる銭形警部さながらである。

鼠小僧次郎吉の素性には、諸説あるが、大坂・堺町の中村座の木戸番の長男、次郎吉であるという説が有力。当初は建具屋として一人前の職人だったが、賭博にはまり、町方の鳶人足になったという。鼠小僧次郎吉が大名屋敷から盗んだ金は、少なくとも三千両以上。現在の貨幣価値にして1億円を超えると言われている。その金のほとんどを呑む、打つ、買うの遊びに使ったとされる。最後は、市中引き回しの上での獄門の判決が下される。引き回しの際には有名人の鼠小僧を一目見ようと野次馬が押し寄せた。処刑は小塚原刑場にて行われた。享年36才であった。

 

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